働く人のセルフケア

​新型コロナウイルスでの支援者の支援サイト

医療・保健・福祉・教育など対人支援の職場で働く人は、新型コロナウイルス感染症の対応で、過酷なストレスを体験しているかもしれません。そこでセルフケア・チェックリストを活用して自分でできるストレス軽減の方法をお伝えします。

「働く人のセルフケア・チェックリスト」は、非日常事態で起こりうるストレス反応5項目、セルフケアにとって大切な体験12項目、被害1項目、職場の安全対策5項目の計23項目と自分へのポジティブメッセージ(記述)と要望・感想をお尋ねします。

このセルフケア・チェックリストは、支援者自身がストレスを知り対処法を整理するために活用ください。「セルフケア・チェックリスト解説書」に読み方を記載しています。また、「ストレス対処法リーフレット」にストレス対処のポイントを記載しています。

チェックリストはGoogleアンケートで作成しています。あなたのメールアドレスを入力いただくと回答結果はすぐにあなたに送信されます。「セルフケア・チェックリスト解説書」や「ストレス対処法リーフレット」を参考にしてください。

メールアドレスを入力しないチェックリストBも用意していますので、どちらかをクリックください。

なお、本研究会では、みなさんのデータを蓄積して、よりよいチェックリストの開発・セルフケア技法の充実をめざしています。データを研究に活用してよいかの諾否を最後におたずねします。お断りになられても、あなたに不利益なことは一切ありません。

※セルフケア完結型タイプ;このチェックリストをクリックし、ストレス対処リーフレット・チェックリスト解説書を参考にこれまでの支援をふりかえりセルフケア力を高めていただく完結型です。メールアドレスを送信していただくチェックリストAでは、メールドレスを入力いただければ、あなたの回答をあなたのメールアドレスに、回答が終わり次第返信します。また、データ集積後に、全体的な統計的結果をフィードバックさせていただくといった情報提供をいたします。このチェックリストは任意であり途中でやまてもかまいません。

・働く人のセルフケア・チェックリストA(無記名;メールアドレス入力;回答をメールアドレスに送信)

・働く人のセルフケア・チェックリストB(無記名)

・セルフケア・チェックリスト解説書

・ストレス対処リーフレット

眠りのためのリラックス法(Youtube)

フォローアップ型支援タイプ;ある医療機関や福祉施設や学校が、職員のストレスケアチーム(精神科医や看護師や公認心理師など)を立ち上げ、働く人のセルフケア・チェックリストA(Googleアンケート)を活用し、希望者や高ストレス職員への面談や助言を行うタイプの支援です。この働く人のセルフケア研究会のスタッフが職員をフォローするという意味ではありません。職員の回答はそのストレスケアチームが管理します。ストレスケアチームのみで回答を管理する方法はメールでお伝えします。当該の機関内でアンケート用紙(医療機関サンプル版)を配布し、スマホから回答してもらう方法です。要望があればtominagayoshikiあっとまーくgmail.comまでご連絡ください。

 
患者と看護師

​働く人セルフケア研究会

​新型コロナウイルスによる支援者ストレス

困難な現場で支援者として働いている皆様の、「こころ」と「からだ」を整えるお役に立てればと考えて立ち上げました。 一人でも多くの方に活用していただけることを願っています。

 

代表;畠中雄平(琉球大学・教授・精神科専門医・博士(医学))

藤岡孝志(日本社会事業大学・教授・公認心理師)             

増野園恵(兵庫県立大学・教授・看護師・災害看護学)

池田美樹(桜美林大学・准教授・公認心理師・臨床心理士)

冨永良喜(兵庫県立大学・教授・臨床心理士・公認心理師・博士(心理学))

 

​医療・保健でがんばっている人を応援

​保健医療の最前線でケア・治療にあたる皆様は、感染症の恐怖だけでなく偏見や差別などによって、ストレスフルな毎日を過ごされているのではないでしょうか。支援にあたっては、まずは皆様の「こころ」と「からだ」の健康が保たれることが大切です。ご自身のストレス状態に気づき、ストレス軽減のために今日からできることをお伝えしたいと思います。COVID19がもたらした困難な状況を乗り切るための一助として活用いただけることを願っています。


支援者支援における3つの概念の解説

二次的トラウマティック・ストレス、共感疲労、共感満足

©働く人セルフケア研究会・藤岡孝志

 ここでは、「セルフケア・チェックリスト解説書 ―対⼈⽀援者のストレスと⽀援者⽀援項⽬の解説―」の背景となっている三つの大事な概念について解説します。なお、以下の解説では、クライエントという言葉を用いていますが、皆さんが現在支援場面で関わっている方々と置き換えてお読みください。


1、二次的トラウマティックストレス

フロイデンバーガーによって1970年代に構築されたバーンアウトの研究と臨床活動が、数量的研究、および組織への支援に大きくシフトしていった1980年代から、対人支援職、特に、トラウマティックな体験をしたクライエントと関わっている支援者(援助者)における傷つき(二次的トラウマ)に注目し、その支援に向き合っていった臨床家、研究者たちがいます。その中心となったのが、フィグリーFigley,C.R.です。

彼は、DSM-Ⅲ(1980年)で登場したPTSDについて、その当時から、トラウマとは波紋が拡がるように、一次、二次、三次と拡がるものであり、第一次のPTSDを被ったクライエントだけでなく、その家族、さらには、本人やその家族と関わる支援者のことも支援の視野に入れなければならないことを提唱しました(Figley 1995他)。

二次的トラウマティックストレスとは、クライエントや被支援者の傷つきを目撃したり、傾聴したりすることで生じる「支援者の傷つき」であり、「ケアの代償Cost of Caring」とも言います。例えば、支援者としてクライエントのことを考えていると夜眠れなくなったり、相談を受けているクライエントが夢の中にまで出てきたり、休日にどこか遊びに行っていて、クライエントに似ている人に会って体が急に震えて来たり、一気に気分が変わってイライラしてきたりというような場合、二次的な傷つきが尾を引いていることになります。困難なケースを、持続的に抱えていればいるほど、そういう傷つきにさらされることになります。フィグリー(2002)は、二次的トラウマティックストレス Secondary Traumatic Stress (STS)を、「トラウマとなりうる出来事に苦しんでいる人のケアをすることから生じる自然な行動と感情」と定義しています。支援者(援助者)であれば、だれでも体験することというのがとても重要な点です。


2、共感疲労

1990年代に入ってから、看護師であるJoinson(1992)によって、共感疲労Compassion Fatigueという言葉が初めて使われました。二次的トラウマティック・ストレス研究を押し進めていたフィグリーは、対人支援場面における支援者支援には、むしろこの概念のほうが適切であるとして、1990年以降、共感疲労は、二次的トラウマティック・ストレス概念と同等に使用するほうがよいと述べるようになります。フィグリーは、共感疲労を「クライエントと一緒にトラウマティックな出来事を再体験している時に生じる緊張と不安、及び、無力感、混乱、支援からの孤立の感覚」と述べています(Figley 2002)。支援者の対人支援技能としての「共感」が、むしろ支援者を傷つけやすくする諸刃の剣となるのです。そのことを考慮すると、「支援者(援助者)の宿命としての共感疲労」に、支援者はその臨床活動の中で、折に触れて向き合わなければならないことになります。クライエントの苦悩や傷つきを自分のことのように理解し、わかろうとすればするほど、支援者の中に不安や無力感が生じ、その変化を、支援者に起こりうる現実として受け止め、しかも、その感情と適度な距離を保ちつつ、クライエントのつらさ・きつさに寄り添うように、徹底して関わっていくことが支援者には求められます。その過程で生じるのが共感疲労です。支援活動における専門的な行為の真骨頂であり、この共感疲労への対処が、支援者としての安定した機能の持続に大きな影響を与えることになります。だからこそ、共感疲労は少なくすればよいという単純なものではなく、支援者としてどう対処するか、どう考えるか、一人ひとりの支援者に問われ続けるテーマと言えます。


 3、共感満足

支援者支援の諸概念で、特に肯定的な側面に焦点を当てたものとして、共感満足Compassion Satisfactionという概念があります。共感疲労ということは、支援者としての業務の中で疲労感があるということであり、疲労感自体は別に悪いものではありません。一生懸命頑張って支援者をやっているからこそ疲労するし、傷つくこともあります。支援者はつらい仕事であるにもかかわらず、何故それを続けることができているのかというと、それと同じぐらいあるいはそれよりも、たとえ疲弊・疲労しても、クライエントや支援場面で関わる人たちからいただく満足感(クライエントの笑顔がうれしい、クライエントの生きることへの真摯な態度に触れる など)があります。これが、共感満足です。疲労感はあっても満足感がしっかりと支援者の中に生じるから、この仕事を続けることができるといえます。この概念は、1990年代にスタムStamm,B.H. によって構築されました。共感満足という概念を構築して、支援者支援に大きな道筋を示したという意味で、その功績はとても大きいと言えます。



出典:藤岡孝志 2016 支援者支援学とは こころの科学 189号  92-98 (日本評論社 )より抜粋し、一部修正した。

 

​畠中雄平・藤岡孝志(2020)

非日常的なレベルで支援が必要とされる状況では、その直接の影響だけでなく、以前から潜在的にあった様々な問題が顕在化することにより、支援者の心理的な負荷が高まります。しかし、支援者自身が支援を求めて行動することはあまり多くありません。辛い状況であればあるほどそのことを口にしなくなる、サイレンシング反応が見られることも報告されています。そのような状態が続くと、オンとオフの切り替えがうまくいかず、心身のバランスが崩れてしまいます。
支援者への支援を機能させるためには、これらを理解した上で、組織としての支援体制の構築が求められます。

 

©2020 by 働く人セルフケア研究会。Wix.com で作成されました。

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